第六章
――Mr.ゲーム&ウォッチ。
能力からしてただの人間でないことは明らかだ。だが何故か英語だけは通じた。出生地である『Game & Watch』ではそれが主流なのかと思いきや、この世界には存在しない仮想世界なのだと彼は語った。……分からない。考えれば考えるほど。
「不思議な話だな」
マルスははっと顔を上げた。
「でもさ、結局のところ目的は答えなかったんでしょ」
カービィはテーブルに頬杖をつく。
……あれから二日が経っていた。
以来、ゲーム&ウォッチは会場の周辺に現れていない。自分たちがこうも積極的に接触を試みるものだから、身の危険を感じて警戒したのだろうか。
「ちょっと。聞いてんの?」
マルスは少しだけ目を丸くして向かいの席で膨れっ面のカービィを見つめる。
「そんじゃまだそいつ怪しいよねって話」
――ちなみにここはホテルの中にある小さなカフェ。
連日ステージの上で戦ってきたヒーローも今日だけはお休みで、スタッフ達もそれぞれ会議だったり同じく休養をとっていたりと徹底して此方のマークが外れているので、こっそり部屋を抜け出し素顔と私服姿でここに訪れていたのだ。
「とにかく。時間もないし、迷ってられないな」
マリオはグラスの中のアイスコーヒーをストローで掻き混ぜる。