第六章
「な、なんて……」
怪訝そうに訊ねるラディスだったが、この国名(?)をそのまま言ったところで通じはしないだろう。せめて、その国の詳しい位置とかが分かれば。
「The country to where?」
ゲーム&ウォッチは首を傾げる。通じなかったのだろうか。
「Virtual world」
バーチャル……?
「Is not present in this world」
マルスは暫くの間口を閉ざしていた。いや、正しくは小さく開いた口から言葉が出てこなかったのだ。だが、当然のことながらラディスには通じずに。
「なんて、言ったんだ?」
「……いや」
これについては後で説明することにしよう。
「It is the last question」
ゲーム&ウォッチは小さく頷く。
「The purpose of you?」
――少年は、答えなかった。
「……マルス」
ゲーム&ウォッチがその場を離れて走り去っていくのを、マルスは追いかけようとはしなかった。立ち上がり、その背中を長く見つめることなく視線を返す。
「そろそろ帰ろうか。ラディス」