第六章
マルスは驚愕した。真っ黒い背景に稲妻が走るような、そんなイメージで。
「……どうやら僕たちはとんでもない勘違いをしてたみたいだね」
「分かってくれたんだな!」
ラディスはぱあっと目を輝かせる。
「ああ。……この子は男だよ」
この瞬間、ラディスは石のように硬直して。
「えええぇええっ!?」
まさしくとんでもない勘違い。ラディスも性別を間違えたのは初めてだった。
「詐欺だ……」
そして今、絶望している。
「彼の名前はMr.ゲーム&ウォッチ」
「か、変わった名前だな……」
マルスは確かにと頷いて人差し指の背に顎を乗せる。
「……ゲーム、か」
少女、改めて少年のゲーム&ウォッチは不思議そうに二人を見つめた。
「それで、出生地とかは」
ああそうだった。マルスはこほんと咳払い。
「Where did you come from?」
「……A simplified」
生意気な。
「Birthplace」
ゲーム&ウォッチは今度も淡々とした姿勢で返した。
「Game & Watch」
「えっ?」
国名、だろうか。しかし聞いたことがない。