第六章
様々な体勢で躱されたそれらは地面に突き刺さり、再び砂煙が巻き起こった。
「げほ、っ!」
咳き込むラディスだったがそんな暇はない。気配を察知して顔を上げると、空から奇襲を仕掛けてきた少女が何かを振り上げていた。……あれは。
確認する間もなく、後ろに飛び退く。だがしかし少女は砂煙の中から飛び出してくると、持っていたそれを振り回し襲ってきた。よく見れば、それは黒塗りで抱える程の大きさもあるハンマーで。自身の影によって生成されたものだろうか。
「ち、ちょっ、落ち」
言いかけて回し蹴りが襲ってくる。
女の子がそういう派手な動きしちゃいけないって! 下手に攻撃で返すわけにもいかず、ただひたすら躱すばかりのラディス。少女は不意に跪いた。
それは決して疲れたからではなく。
「えっ」
己の影に触れ、伸縮させて。実体化。一瞬の隙を突いて足を払う。
「ラディス!」
はっとカービィは声を上げた。
ラディスの目の前。接近した少女がハンマーを振り上げた。
「す、」
思わずぎゅっと瞼を瞑って叫ぶ。
「ストップストップストォォォップ!」