第六章



ばちばちっ、と音を立てて。

次の瞬間ラディスの手によって放たれた青い稲妻が、地面を抉りながらリンクのちょうど真横を駆け抜けた。稲妻は瓦礫に衝突し、派手に砕いて。

「え……」

小さく声を洩らしたのも束の間。ラディスは駆け出し、低く跳んで回し蹴りを繰り出した。攻撃の対象となったリンクは直前まで硬直していたが、はっと我に返り慌てて後方に飛び退いて。その一方で三人は彼のその行動の意図が掴めずに。

「……おい、ラディス!」

ようやく声を上げたマリオだったが。攻撃は止まない。

「なんでっ」


まさかあの死神がこの暗闇の何処かに潜み、ラディスを操っているのか――!?


「くっ……」

マリオは辺りに目を走らせる。が、それらしい影は何処にも見当たらない。あの死神は影を操っていた。だとすればこの暗闇の中に溶け込み、一体となることだって容易なはず。そうかそっちがその気だってなら――


この手で炙り出してやるまでだ!


「ッ、が」

戦士とはいえまだ子供。一瞬の隙を突かれてリンクは蹴り飛ばされた。

地面を数回引きずって転がり、横たわる。腹に入り込んだ、あの蹴りは嘘じゃない。それを痛みが物語っているのだ。リンクはぼうっとラディスを見つめて。

「……待って」

マリオがその手に火を灯した、その時。手首を掴み、静止を促したのは。

「っカービィ!」
「考えなしに動くリーダーじゃないと思うよ」

ラディスはゆっくりと手を翳す。青い光がぱちぱちと音を鳴らして、体の至るところを走っている。もうすぐ放たれるであろうそれに、リンクは眉を顰めた。
 
 
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