第六章



――見つからない。

瓦礫の影や崩れた建物の中まで念入りに探したが、それらしい人影は何処にも見当たらなかった。気配だって。……まさか本当に、ここにはいないのだろうか。

「まだ探すわけぇ?」

本当に眠っていたのかはさておき、少しの間しか寝ていないのだ。疲れも抜けきってないのだろう。カービィもこんな調子だ。

「僕も眠くなってきた……」

先程から無言になっている虚ろ目のリンクを見て、マルスは欠伸を洩らす。

「ラディス。今日は引き上げた方がいいんじゃないか?」

マリオの提案に心が揺らぐ。でも、心の中で諦めきれない自分が必死に首を横に振っている。だからって、先に帰っていてくれとは言いづらい。皆、自分だけでは心配だからとついて来てくれたのだ。それを突き放そうだなんてそんな真似は。

「……、」

気付けばラディスはリンクをじっと見つめていた。


そして思い出す。――小さな子供をターゲットにしていたことを。


「さんせーい」

カービィはぐっと腕を伸ばした。

「今日じゃなくたってさ。明日もあるだろ?」

マリオは励ますように顔を覗き込む。

「な? ラディス――」
 
 
32/88ページ
スキ