第六章
――見つからない。
瓦礫の影や崩れた建物の中まで念入りに探したが、それらしい人影は何処にも見当たらなかった。気配だって。……まさか本当に、ここにはいないのだろうか。
「まだ探すわけぇ?」
本当に眠っていたのかはさておき、少しの間しか寝ていないのだ。疲れも抜けきってないのだろう。カービィもこんな調子だ。
「僕も眠くなってきた……」
先程から無言になっている虚ろ目のリンクを見て、マルスは欠伸を洩らす。
「ラディス。今日は引き上げた方がいいんじゃないか?」
マリオの提案に心が揺らぐ。でも、心の中で諦めきれない自分が必死に首を横に振っている。だからって、先に帰っていてくれとは言いづらい。皆、自分だけでは心配だからとついて来てくれたのだ。それを突き放そうだなんてそんな真似は。
「……、」
気付けばラディスはリンクをじっと見つめていた。
そして思い出す。――小さな子供をターゲットにしていたことを。
「さんせーい」
カービィはぐっと腕を伸ばした。
「今日じゃなくたってさ。明日もあるだろ?」
マリオは励ますように顔を覗き込む。
「な? ラディス――」