第六章
まさか。
強力な魔力を秘めた術師の子供を狙って――!?
「……あれ、まずいんじゃないか?」
「んなの見りゃ分かるでしょ」
そう言って立ち上がろうとしたカービィを、マルスがすかさず腕を掴んで止める。
「っ何、」
「僕たちの格好!」
マルスはなるべく声を殺して。
まさか恥ずかしいとか言い出すんじゃないだろうな、とも思ったがその理由はすぐに分かった。この格好は、目立ちすぎる。あの男たちだって邪魔立てをされれば素直に逃亡を選択して、今回の件について町の住民に話すだろう。
自分たちのことを棚に上げて。
何としてでも正体を明かされるわけにはいかない。その為には何か目立った行動を起こして注目を浴びるのもアウトだ。無論、ステージの上では別なのだが……
「ここは彼らの後ろを確実に取りたい。まずはトラックに乗り込むのを待つ」
口を開いたのはラディスだった。
「二人が乗り込んだら、トラックのタイヤをパンクさせて足を止める。二人の内、どちらかが確認しに降りてくるだろうからそこを狙って――」
その時である。
「ああ?」
男の一人が声を上げたのだ。
「なんだぁ? あの餓鬼」
ラディスははっとした。男たちの視線の先にいたのは自分がステージの上で見つけて今まで必死に追いかけてきた、あの少女だったのだ。