第六章



しかし、歩けど歩けど人がいない。

これは本当にパフェを奢る羽目になるんじゃないか。そうなるならせめて、この任務の報奨金が出てからにしてほしいなぁ……ラディスは溜め息を吐いて。

「……いないな」

マリオは立ち止まり、辺りを見回して呟く。人どころか、野良の犬も猫もいないのだ。自分が見たのは本当に、少女の幽霊だったのか。はたまた、幻覚か。

「じゃ、予定通りカフェ行きってことで」
「それより監督やスタッフの皆にはなんて言い訳をするのさ」
「どうにかなるって。はい、撤収」
「……待って」

そう言い留めたのはリンクだった。

「今、何か物音が」
「えー?」

カービィはもう一度辺りを見回してみる。

「……いませんけど、ってこら!」

微かに聞こえた音を頼りに、リンクは小走りでその場を離れた。これを見過ごす手はない。急いでラディスも追いかける。向かったのはとある崩れた建物だった。

そこで人影を見つけて、近くの大きな瓦礫の前に膝を付いて身を潜める。ラディスはリンクと共に目を見張った。遅れて他の三人も駆けつけてくる。

ラディスが人差し指を立てれば、カービィは口を閉じた。同じように瓦礫の前に身を潜めて待機。彼らの視線の先には、確かに二人組の男がいた。近くには大型トラックも停めてある。……瓦礫の撤去作業だろうか。にしては様子が変だ。

「……あの町の連中はよそ者がいないと思って子供を野放しにしやがる」
「お陰で仕事が捗ったなあ、相棒?」

一人の男が建物の中から連れ出したのは――口にガムテープを貼り付けられ、黒い布で目隠し、両手は後ろに縄で縛って拘束された子供だったのだ。
 
 
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