第五章
「……それ」
カービィの目の色が変わった。
「あいつ、だよね」
そう呟くと誰もが沈黙した。居ても立ってもいられなくなったカービィは自分の着替えが置かれた棚の前に早足で移動すると、急いで寝巻きに着替え始めて。
「ちょ、カービィ!」
着替えを終えてすぐ脱衣所を出ようとするのだから何となく読めた。
「お前落ち着けって!」
「っ、」
すかさず腕を掴んだマリオの手を振り払う。
「だからって……このまま放っておけっての?」
「そうじゃなくてだな」
「ああいうタイプは付け上がるんだよ! だったら」
「大丈夫!」
そう声を上げたのはラディスだった。
「……大丈夫だから、な?」
本人に言われたのでは仕方ない。いや、だからといって彼のした行為全てを許せるというわけではないのだが。ラディスは苦笑いにも似た笑みを浮かべている。
……今度のはダメージが大きかったようだ。
「寝巻き、取ってきてやるよ」
「さすがにそこまでは甘えられないさ」
先に着替えたクレシスが気を利かせたが、ラディスは断った。
「別に、部屋が遠いわけじゃないし……」
「そうじゃなくて」
クレシスがそう言った時には既に遅く。ラディスはタオル一枚、腰に巻いた状態で脱衣所の扉を開けていた。何が? と言いたげに振り向いた次の瞬間。
「ラディスのおばかーっ!」
「うわああっ、リム!?」
よくある展開にことごとく足を突っ込む男にクレシス、溜め息。