第五章
いやぁ、さすが魔王様!
「どうした。さっさと乗らんか」
目立つわ。
ガノンドロフが呼び寄せ、間もなく屋敷の庭に降り立ったのは黒い装甲に覆われた巨大な竜だった。や、確かにひとっ飛びだけどこれ明らかに目立つだろ!
「こいつはいい竜だな」
さすが、クッパは全く驚いていない。
首元を撫でていたところ、竜はゆっくりと顔を近付けて。クッパの体の匂いを嗅いだ後、顔を見つめ、ふうっと息を吐き出すかの如く、軽い火炎放射。
「ぶっ」
「ナルドブレアだ。比較的知能が高く、重宝している」
「そうですか。いつかぶっ倒すのが楽しみですね」
黒焦げたクッパを差し置いて、睨み合うガノンドロフとリンク。
「まさか、こいつに乗れってのかい!?」
と、ここでも批判的なマルスにカービィは盛大に溜め息を吐き出し、ずいと詰め寄った。じっと顔を覗き込み、にやりと笑ってから口を開く。
「もしかして……怖いの?」
マルスの口角がひくっと引き攣った。
「そんなことあるもんか!」
負けじと踏み出すマルスに、カービィはますます笑みを深める。
「どうだか。王子様ったら口だけはお達者なようで」
「っ……上等じゃないか」
遂にマルスは言い放つ。
「こんな任務、三十分で片付けてやる!」