第五章
まずは朝食を取るべく、ラディスが向かったのは食堂。
「いっちばーん!」
「うわっ!」
扉を開けた瞬間、入れ替わるようにして飛び出してきたのはドンキーだった。
「ちょっとぉ! “れでぃふぁーすと”でしゅうう!」
ラディスが振り返ると、続けてリムが廊下へ飛び出していって。はあ、と溜め息をついてそれぞれの皿を重ねているのは、同じ席で食事を取っていたらしいユウ。
「元気な方々ですね」
同情するように声をかけたのはリンクだった。
「……全く」
「よいではないか。子供は火事の子と言うだろう!」
その様子を端から聞いていたクッパはそう言って、笑う。
「厄災ですか、って」
そう突っ込みつつ顔を向けて、リンクはようやく気付いた。――魔王の存在に。
「……あ、あれ?」
突如周囲を漂う不穏な空気にラディスは冷や汗。ち、ちょっと待て。あんなことがあったんだ、二人は和解してるんだよな? まさかここで戦うはず――
「現れましたか……」
背中に背負った鞘から剣をおもむろに引き抜き、続けて盾を構えるリンクにガノンドロフはにやりと笑った。ぴりぴりとした、この雰囲気は。
「驚いた。それほどまでに自分の命が可愛くないと?」
「す、」
「面白い解釈だ。貴様は己の心配だけをすれば」
「ストォォップ!」