第五章



「いやああぁあああ!?」

なんとまあ気持ちよく響く、見事な悲鳴である。……


「随分と名を上げているようではないか」

廊下を歩きながら、クッパはまるで自分のことのようにふふんと誇らしげに笑った。……ああ、客観的に見たらどう映ってるんだろう。

魔王二人が鼠の後ろを歩いているなんて。人質にでもされた気分だ。

「た、頼まれたって入れないからな……」
「それには及ばない」

ガノンドロフの台詞に、ラディスはほっと胸を撫で下ろす。

「既に隊員だからな!」

がっはっは! とクッパが笑えばラディスは派手にすっ転んだ。……道理でさっきのことも嬉しそうに話すわけだ。苦笑を浮かべて立ち上がり、再び歩き始める。

「全然気付かなかった……」
「だろうな。手配をしたのはマスターという男だったし、我が輩たちもこうして顔を出したのは初めてなのだ。魔王というのも決して楽な仕事ではないからな」

ああ。ピーチとゼルダの時といい、また勝手なことを。

「……でも、今日はどうしてここに?」
「むっ、来なくてよかったとでも言いたげな口振りだな」

ラディスはぎこちなく目を逸らす。

「ふん。単なる暇潰しに決まっている」
「たまには奴のマヌケ面を拝んでやろうと思ってな!」
「実は単純に会いたかっただけだったりして――」


沈黙。


「違うわッ! 誰があんな奴!」
「そういうのをツンデレって言うんだぞ?」
「勝手な解釈をするな!」
 
 
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