第五章
あれからまた一週間が経った。
新しく入隊したゼルダとピーチも部隊に馴染んできた頃である。正直、お姫様が戦場に立って戦えるのかどうか不安だったが、どうやら余計な心配だったようで。
ピーチは何処からか取り出したフライパンやラケットを振り回すし、ゼルダは魔術に長けている。見込みもあって、先輩であるはずの此方が逆にひやひやさせられる始末だ。あのトーナメント、彼女たちがいたらどうなっていたことか……
そんなある日のことである。
「ん……」
目覚まし時計が喧しく鳴り響く朝。
ラディスはアラームを止めると、一旦布団の中に潜り込んだ。その中でゆっくりと瞼を開き、やがて、もそもそと顔を出す。それでも暫くぼうっとしていると。
「ふん。ようやく目覚めたか」
沈黙。
「寝るな!」
これは夢だ。さて寝ようと布団に潜り込めばその男は怒鳴って。
「せっかく来てやったというのに!」
「お、大きな声を出さないでくれ……二日酔いなんだ」
「知るか! 戦士が何をやっておるのだ!」
なんと、そこにはクッパがいたのである。ラディスは頭を抱えながらむくりと起き上がった。ああ、一人で打ち上げしてたらこのザマだよ……我ながら情けない。
「……あれ?」
ラディスはきょとんとした。……部屋が綺麗になっている。
「手間のかかる男だ」
その声に、ラディスはゆっくりと振り向いた。