第四章-後編-
こうして、トライフォースを巡る戦いは静かに幕を閉じた。
ゼルダはピーチと揃ってそれぞれの国へ。クッパは「あの三つ編みオトコ、とっ捕まえてやるわ!」などといった謎の狂言を残し、船に跨って空の彼方へ……
これで平和な日常が戻ってくる。――はずだった。
「駄目よ。もっとこう、揺すらなきゃ」
「こ、こうですか?」
変だな。腰の辺りに重みを感じる。
「もしもし。あの、起きてくださぁい……」
ラディスはゆっくりと瞼を開いた。初めに視界に捉えたのは枕元にある目覚まし時計。――休日の朝八時、カーテンから射し込んだ朝日がどうにも眩しくて。
「あっ」
腰に跨っていた少女の笑顔が眩しく……
「おはようございます、ラディスさ」
「っぎゃー!?」
案の定、飛び起きた。
「なによ。そんなに驚かなくたって」
「更にぎゃー!?」
彼がああして驚くのも無理もない。何故ならそこには、国に戻ったはずのゼルダとピーチの姿があったのだから。ラディスは口角をひくひくとさせて。
「な……っな……」
「私たち、ここに入隊することになったから」
……え?
「ここに、って」
「DX部隊に決まってるじゃない」
「今回の件で私たち、己の未熟さを知りました」
ゼルダは胸に手を置いて語った後、ずいと詰め寄る。
「だからどうか! びしばしと指導してください!」
「ちちっ近いです、近いですー!」
慌てふためくラディスにゼルダは「すみません!」と即座に退いた。
「じ、じゃあ申請は通しておくから……」
「何言ってるの。今日からよ」
ぴしっとラディスは硬直。
「だから。今日からよろしくね? リーダーさん」
「よろしくお願いします!」
ええと朗報です。本日、DX部隊に――
「えええぇええ!?」
可愛い姫様が入隊しちゃいました。