第四章-後編-
「……どうなってやがる……」
上空からその光景を見下ろしていたダークリンクは顔を顰めた。
外壁は剥がれ、天井や床が崩れて崩壊寸前だったはずの城が白く眩い光に呑み込まれ、その光が消えた――次の瞬間。城は傷一つ無い元の姿に戻っていたのである。
「おい……どういうことだ。なあ、フォックス」
ファルコは呆然としたように口を開いたが、返事はなかった。フォックスも、現実では有り得ないであろうその光景に驚き、目を開くばかりだったのだ。
「……ラディス、聞こえるか」
フォックスはようやく口を開く。
「中は、どうなってる」
「……ああ」
一方でラディスも驚きを隠せない様子で。
「俺にも……何が何だか、さっぱりで……」
外見だけではない。内部も元の姿に戻っていたのだ。
天井に飾られたシャンデリアも、最初に目を奪われたパイプオルガンも……窓やカーテン、燭台も何もかも全てが元通り。――まるで、何事もなかったかのように。
リンクは腰が抜けたかのようにその場にぺたりと座り込んだ。ふと、自分の左手の甲に目を向けてみるとそれまで浮かび上がっていたトライフォースの光が徐々に薄まっていき、やがて、消えた。リンクは暫く目を離せずにいて。
「トライフォースが……」
ゼルダはぽつりと小さく声を洩らす。
「貴方を認めた……」