第四章-後編-
降りしきる雨の日も。吹き荒れる風の日も。
監獄に似たこの城の一室で、ずっと勇者が現れるのを待っていた。きっと、その為だけに今日まで生きてきた。――そうでなければ。
出会うはずはなかったのだから。
「……離せ」
「嫌です……!」
リンクはゆっくりと首を横に振る。
「貴方がこの名を……肩書きを、拒むと……いうの、なら……っ俺は、そんな……もの、いらない……だから、おねが……っ、ぁ……生きて……」
ぽろぽろと頬を伝わずにこぼれ落ちるそれは。
「生きてください……!」
一人の人間へと向けられた少年のひたむきな――想い。
「く、う……っ!」
一雫の涙がリンクの左手の甲に触れた、次の瞬間である。
「ッ!?」
ただの一度も輝きを放たなかったトライフォースが、金色に光り輝き、浮かび上がったのだ。続けてゼルダ、ガノンドロフの右手に宿ったトライフォースが共鳴するようにして金色に光り輝きながら浮かび上がり……そして。
「う、」
辺りはたちまち、白い光に包まれた。
「何あれ!?」
城の上空を旋回するようにして飛ぶ船の上から見守っていたルイージは思わず声を上げた。突如現れた白い光が、城をすっぽりと包み込み隠してしまったのだ。
「新手じゃないだろうな!」
「いや。……違うみたいだよ」
かと思いきや、光は徐々に収縮していき、消滅。ほっとしたのも束の間、
「……え」
ルイージはその光景に目を疑った。