第四章-後編-
突然の登場に誰もが戦いの手を止めた。
魔物を蹴り飛ばし、恐る恐る目を向けるマリオ。大きく開けた天井から見えたそれに、わなわなと震えながら「な……」と声を洩らしたのも束の間。
「なんじゃありゃあーっ!?」
――巨大な船が、空を飛んでいる。
いいや、飛行船じゃない。本来なら海に浮かんでいるはずのそれが、水を掻き分ける仕事を果たすオールやプロペラの力を借りて浮いているのだ。
「兄さん!」
「なっ、ルイ」
その船からひょいと顔を出した弟に二度驚かされたが刹那、その船に取り付けられていた幾つかの砲台から次々と砲丸が放たれた。全てが魔物に命中しているわけではないが、確実に数を減らしている。マリオは飛ばないよう帽子を押さえて。
「見たか! これが我が輩の」
「っじゃねーよ!」
当然、そんな突っ込みも返ってくる。
「何だよこれ! どうしてこうなった!」
「ふん。貴様らがチンタラやっておるから手を貸してやったのだ」
だからってこんな方法があるか! とマリオ。……ごもっともである。
「こ、これがお金の力ってヤツか!」
「無謀って言うんだよ」
きらきらと瞳を輝かせるラディスに、クレシスはぽつり。
「無茶苦茶しやがるぜ、ったく」
「誰かさんが言えた義理じゃないけどな」
「そーそー」
此方もファルコの発言に、呆れたようにフォックス。うんうん、とカービィは頷いていたが不意に地面が大きく揺れた。……当たり前である。
床、天井、この城は損傷を受けすぎたのだ。