第四章-後編-



リンクが振り返ったそのタイミングで、ヴァルバジアは炎の塊を吐き出した。

間一髪、横に飛び込むことで躱したが、ヴァルバジアは休ませる間もなく宙で一度円を描いた後、突進を仕掛けてきて。リンクは片膝を付き、顔を顰める。

「ッ、!」

弓矢を構えたゼルダの前に、数匹の魔物が立ちはだかった。

「リンク!」

気付いたラディスが声を上げた。


彼らは報われるのだろうか。

気の遠くなるほど昔から、課せられた運命に従って。力のトライフォースは彼と共に深い眠りに落ち、知恵のトライフォースは王女と共に祝福を謳う。

勇者は、いつかトライフォースと共に生まれ落ちる。剣を取り、戦う為に。


そうやって何度も、何度も繰り返す。


「っ……」

嫌だ。

――死にたくない。


今度こそ助けたい!


次の瞬間、城の外壁を突き破って何かがヴァルバジアの体に直撃し、ヴァルバジアは甲高い鳴き声を上げた。リンクは目を開き、立ち上がる。

「がーっはっはっは!」

やけに響き渡る、この声は。

「泣く子も黙る大魔王クッパ様、華麗に参上だッ!」
 
 
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