第四章-後編-
「それはこっちの台詞です」
リンクは剣の柄を握る手に力を込める。
「どうして討たなければならないのですか」
「……惑わされないでください、リンク。貴方がいくら彼を人間だといって一太刀を躊躇おうと、その正体は幾人もの血を吸った悪魔。それに変わりはありません」
そうだ。
今のこの状況だって、彼がダークリンクを生み出しさえしなければ起こりえなかった。元を辿れば、やはり魔王。悪の根源がそこにあるというのなら。
「……違う」
ゼルダは小さく目を開いた。
「それはただ、過去の面影を重ねているに過ぎない。俺たちは一時の安らぎの為に何度も、何度も繰り返しているだけ。それが、一太刀を躊躇うことよりどれだけ愚かなことなのか……貴女には分かりますか?」
リンクの後ろで、ガノンドロフはくくっと笑って。
「その躊躇は甘さだ。貴様はそうやって自らの命を削っているに過ぎん」
「ガノンドロフ。この件に関しては私も同意します」
――それでも。
「子供には意地があるんですよ」
リンクの意志が揺るぐことはなかった。
「彼は殺させません。その為なら――俺は貴女の、敵になります」
「そんな……そんなこと」
呆然と声を洩らす。その時、ゼルダははっと目を開いた。
「危ない!」