第四章-後編-
「リンク!」
その声に振り返ると、そこではゼルダが弓矢を構えていた。次の瞬間放たれたその矢は金色の光を纏って風を切り、真っ直ぐとガノンドロフの元へ。
しかし、その矢はあっさり弾かれた。ガノンドロフが剣を払ったのである。
「ようやくお目覚めかな。……ゼルダ」
ゼルダは答えない。代わりに、新たな矢を弓で引いた。彼女の力なのだろう、矢には少しずつ金色の光が吸収されていく。リンクは思わず目を見張った。
「……分かっています。貴方が、今回の首謀者ではないこと」
それでも、とゼルダは声を洩らす。
「私は知恵のトライフォースを伝承するハイラル国王女、ゼルダ。いずれ討たなければならないというのなら……例え今、共に闘い、敵じゃないにしても!」
ゼルダは固く張った弦を離し、矢を放つ。
「貴方をここで封印します!」
矢は、再び金色の光を纏って、ガノンドロフの元へと向かっていく。成る程、その瞳が宿すのは紛れのない先代の意志か。全く、忌々しい。
――女神ハイリアの魂よ。
「……何を考えているんですか」
矢を弾いたのはガノンドロフではない、リンクの剣だった。
「リンク!」
ゼルダが、事の意外さに目を開いたのはいうまでもなく。
「どうして……」
リンクは剣を軽く振るって、ゼルダを見つめる。