第四章-後編-
直後に踏み出し、一瞬で詰め寄られる。
「ッ!」
構えたが、ダークリンクはそれよりも少し早く、低く跳んで回し蹴りを仕掛けてきた。腹部に上手く入り、蹴り飛ばされる。地面の上を、体を打ち付けながら数度転がって、起き上がろうと片膝を付いたが刹那、先程と同じ頭上に影。
剣の振り下ろしを横に飛び込むような形で躱し、ラディスはようやく立ち上がる。
「……くくっ、どうしたよ」
――速い。本当に、先程負った傷など完治してしまったかのようだ。
「ラディス!」
放たれた黒い稲妻がダークリンクに襲いかかったが、剣を薙いで弾かれた。
「てめえの背中は取らせねえ。前だけ見てろ!」
心強い台詞だ。ラディスは頷いて、踏み出した。クレシスは空から襲いかかる魔物を稲妻を放って撃ち落とし、小さく舌打ち。……と、その時である。
「下ろしてください」
それまで抱きかかえていたゼルダが、目を覚ましたのだ。
「くっ」
数が多すぎる――
苦戦を強いられているのはリンクも同じだった。倒せど倒せど、敵が出る。
「ふ、どうした。息が上がっているぞ」
ガノンドロフはくくっと喉を鳴らして。リンクは振り向き様に剣を横に払うようにして魔物を斬り捨てると、力強く踏み出した。直後に彼が斬り捨てたのは、今まさにガノンドロフの背後より襲いかかろうとしていた一匹の魔物。
そう。魔物は、魔王であるガノンドロフにもその牙を向けていたのだ。
「……勘違いしないでください」
リンクは剣を打ち払って。
「これっきりですよ」
――勇者と魔王が共闘なんて。そんなあべこべは。