第四章-後編-
その正体はダークリンクだった。
「こっちの台詞だッ、それは!」
ファルコがそう声を荒げるのも無理はない。彼はあの時、どうしようもならないくらいの痛手を負わされていたのだ。それがどうだろう、全くの無傷である。
これが、奴の自己再生能力だろうか。いや、ただの人間だと語った彼にそもそもそんな能力はなかったはず。しかもその上、倒したはずのヴァルバジアが復活?
俺たちが見ているあれは何なんだ――?
「ヴァルバジア」
ダークリンクがたてがみを撫でると、ヴァルバジアは天を仰いだ。
開かれた口の奥で、何かが吸収されていく。一瞬向けられた視線に気付いて、ガノンドロフが手を横に払った。次の瞬間ヴァルバジアはゼルダに向けて炎の塊を吐き出したが、間一髪で魔術が解かれ、ゼルダの体は墜落。ラディスは飛び出した。
「姫さ、っおぶ!?」
先ほど天井を突き破った際に落ちていた瓦礫の破片に躓き、転倒。
直後に飛び出したクレシスが滑り込むようにしてゼルダの体を受け止めた。ラディスはうつ伏せた姿勢のまま、ナイスだとばかりに親指を立てて。
「手間かけさせてんじゃねえよ、ったく」
クレシスは呆れたように小さく溜め息。
「……んん?」
その時、ダークリンクは初めてクレシスの存在に気付いた。クレシスも自分に向けられた視線に気付き、ゼルダを抱きかかえて立ち上がると睨みつけて。
「てめえ」
ダークリンクは目を細める。
「なんで生きてやがる」
マリオは眉を寄せた。やっぱり、あの時クレシスは――