第四章-後編-
ガノンドロフが剣を床に突き立てた、次の瞬間である。
彼の足下に黒い魔法陣が浮かび上がり、同時に右手に宿ったトライフォースが金色に輝き始めたのだ。続けて床からのっそりと起き上がるようにして現れたのは、数匹の骸骨剣士の形をした魔物……スタルフォス。
「くく……どうした、勇者」
たじろぐリンクにガノンドロフは笑って。
「――まずいな」
マリオは顔を顰めた。
見れば、リンクはスタルフォスの攻撃に翻弄されている。すぐにでも斬って捨てればいいというのに、どうして。そのあまりにも歯痒い光景に不安が募っていく。
「スタルフォスの属性は闇だ」
マリオは続けた。
「光属性の術で対抗しなければ、そいつはすぐに復活しちまう……」
「チート技ってわけ。いい大人がねぇ」
カービィは小さく息を吐き出して。
応戦といきたいが、実は何度か試してあるのだ。しかしどうやら見えない結界によって阻まれているようで、如何なる攻撃であろうと打ち消されてしまう。
「ちっ、何とかできねえのか!」
「ピーピーうっさいなあ。少し黙っててよ、鳥さん」
「ンだとォ!?」
「それでも」
ラディスはぽつりと呟いた。
「信じるしかないんだ。……今は」
こんな時に、かっこ悪いけど。
頼むよ、神様。彼から未来を奪わないでやってくれ――!