第一章
庭を通過して両開きの扉を開くと、これまた広々としたエントランスがメンバー達を迎えた。両側の壁に沿って設けられた階段は、二階へと続いているようだ。
「一階は食堂や浴場がある。食料の調達は此方が引き受けるが、調理は……」
マスターは視線を巡らせて。
「ヨッシー。お前がやれ」
「は、はいっ」
緑色の髪に赤のメッシュが入った青年、ヨッシーはぴんと背中を伸ばして。
「他にも部屋はあるが、自由に使ってくれて構わない。お前達の部屋は二階だ」
そこまで話して、マスターは懐から一枚の白い紙を取り出した。すぐに仕舞った辺り、どうやら説明はここまでらしい。
「他に質問はあるか?」
「はい! 貴方の部屋は何処でしゅか?」
……ませている。
「一階だ。他に質問は?」
今度こそ誰も発言しないのを確認して。
「では、解散」