第四章-後編-
鍵を扱い、南京錠を解放すると扉に巻き付いていた鎖がじゃらじゃらと音を立てて崩れ、解けた。リンクは扉に指先を触れると、ゆっくりと息を吐き出して。
「……一時間」
すっと視線を後ろのラディス達に向けて、続ける。
「もし、それで戻らなければ……その時は」
「一人で戦うつもりか」
ラディスはぽつりと口を開いた。
「分かってください。運命に背を向けた男が、初めて向き合おうとしていること」
リンクは振り返る。
「そこに、貴方達が入り込む隙は無いということ」
定められ、呪いと謳われた運命。彼らをこれ以上、巻き込むわけにはいかない。
思えば、よくも子供の我が儘に付き合ってくれたものだ。――本当は、もっと子供らしく愛らしい笑顔で接したかった、なんて最後の我が儘を心の中で呟いて。
そんなことは無理だと悟りながら。
「……分かりましたか」
「分かるわけあるか!」
びりびりと耳に響く、ラディスの怒鳴り声。
「子供が生意気言うんじゃない!」
「そういう問題か……?」
「いやこいつの場合、運命云々が理解できてないだけだな」
「とにかく!」
ラディスはだん、と強く踏み出して。
「どんなに重かろうが軽かろうが……そんなものに隔てられてたまるか!」
「いい大人が、言っている場合ですか!」
「少しでも突き放そうとしてみろ、噛み付くぞ! 俺はそんなこと認めない!」
――言い放つ。
「運命の輪廻なんて、俺が捻じ曲げてやる!」