第四章-後編-
リンクの決意は確かに本物で、固いものだった。
「……嬉しかったんです」
大広間へ向かいながら、先頭のリンクが小さく笑って口を開く。
「無線機から聞こえてきた、あなた方の想いが」
彼は……ただ単純で、自分の意志に忠実なだけだけど。
それでも、嬉しかった。こんな子供の為に命懸けになってくれたことが。これだけでは、あまりにも単純すぎるでしょうか。――それだとしても、神様。
自分の為にここまで必死になってくれた人は、いなかったんです。
運命を恨みました。憎みました。今だってそう。……だけど、ほんの少しだけ。
生まれてきてよかった、って思えたんです。
「リンク……」
「そんな声で呼ばないでください」
だから、今は。
「……困ります」
前よりもずっと、死ぬのが怖くなりました――
大広間。両開きの大きな扉の前に立ったリンクは、鍵を取り出して見つめた。
「あんた、本当にそれでいいの?」
「いいんです」
リンクは今一度、鍵を握り締める。
「……少し、席を外すだけですから」