第四章-後編-
人数が二人増えただけで、こうも効率的に攻略が出来るとは。
「……開けるぞ」
ファルコがそう言うと、少し離れた位置からラディス達は構えを取りつつ頷いた。
これも、ダミーに引っかからない為の策なのだ。ここは一番最後の部屋なのだからそこまで警戒する必要もないのだろうが、それでも念のため、である。
カチャ、と宝箱の開く音。全員が息を呑んで見守る中、ファルコはその中から何かを取り出した。宝箱の中身をもう一度確認してから閉めて、立ち上がる。
「……見つけたぜ」
トラップは無い。代わりにファルコの手に握られていたのは、今までとは形状が全く異なった金色の鍵。リンクは直ぐ様駆けつけると、じっと見つめて。
「間違いありません、ボス鍵です」
「ボス鍵?」
「つまり、これで魔王に殴り込みが出来るってわけか」
クレシスはにやりと笑って。
ああ、成る程。随分と時間はかかってしまったが、これで大本命の魔王に会えるというわけだ。ここまで能力の明かされていない魔王だが、このメンツなら――
「皆さん、ありがとうございました」
そう口を開いたのはリンクだった。
協力くらい、当たり前だ。それにしてはその言い方が気がかりだった。リンクは何の気なしにファルコの手から鍵を奪うと、ぐっと握り締めて。
まるで何かを決意したかのような仕草だった。
「……まさか」
気付いたフォックスがぽつりと声を洩らす。リンクはゆっくりと顔を上げた。
「魔王は、俺が倒します」