第四章-後編-
大広間には幾つかの扉があった。その内の一つは極めて大きく両開きのもので、恐らくあの向こうに魔王が待ち構えているのだろう。その先に進む為には今までとは違う、もっと特別な鍵が必要なようだが……悩んでいるような暇はない。
――片っ端から攻略するまでだ!
「はあっ!」
それにしても、腕はいいのだろう。体格に差はあれど、リンクが剣を振るえば魔物は全滅を余儀なくされた。お馴染みの効果音が室内に鳴り響き、ひと息。
「……そういえば」
剣を鞘に仕舞い、カービィが口を開いた。
「あんた、怪我は大丈夫だったの?」
ダークリンクでさえ、あの時クレシスは死んだものだと確信していた。それなのに、と言っては悪い気もするが……まさかこんな奇跡が起きるとは。
「マスターが治療を施してくれたんですよ」
そう答えたのはリンクだった。
「じゃあ……救急は来なかったのか?」
「いえ。まあ、入れ違いでしたが」
マリオの中で何かが引っかかっていた。――だってあれは、確かに心臓をひと突きにされていた。傷口を焼いて塞ぐことで出血多量死だけは免れたが……
「……!」
それでも、助かるなんて保証は。
「クレシス!」
「あ?」
何処にもなかったはずなんだ。
「なっ……!?」
何を思ったのかマリオは駆け寄ってくるなりクレシスの目の前に回り込むと、着ていた服を捲り上げた。次の瞬間、マリオは目を見開く。