第四章-後編-
……音が、止まった?
「ラディス」
ぴくっと肩を跳ねさせて振り返ると、今まさに襲いかかろうとしていた魔物たちの動きが不自然な形で静止していた。間もなくして魔物たちの体が真っ黒に染まり上がったかと思うと、徐々に体が薄くなっていき、やがて、消滅。
「……やったのか?」
「みてえだな」
ファルコがそう答えると、はーっと溜め込んだ息を吐き出してマリオはその場に座り込んだ。リラックスしすぎだろ、とファルコが呆れたように呟く。
「だってなぁ……って、そうだ。カービィ!」
忙しい人だ。立ち上がったかと思うと慌てて駆け出すマリオを見て、ラディスは苦笑いを浮かべる。とはいえ、その気持ちは分かるので後を追いかけて。
「はー、いちいち五月蝿いなあ」
「っじゃねえだろ! んな大怪我……」
マリオは目を開いた。
「して……」
彼が驚くのも無理はない。カービィが先程負ったはずの傷は、既に治癒を始めていたのである。それにしてはべっとりと血が付着しているし、これは一体。
「ま、特能だよ。特能」
「とくのう?」
「特殊能力。こんくらい簡単な傷なら勝手に治っちゃうの」
……そういえば。いつだったか、自分は星の力を持って生まれたのだと聞かされたことがある。成る程、普通の人間じゃないということならその能力も納得だ。