第四章-後編-



ダークリンクが薙ぐようにして剣を返したのも束の間、カービィは素早く腕を引くと突きを繰り出して。小さく舌打ち、ダークリンクは一旦身を屈めて後方に飛び退く。

「……上等じゃねえか」

頬を掠めた。間もなく赤い一線が浮かび上がり、血が滲むとダークリンクはそれをぐいと手の甲で拭って。成る程、あれは単なる仮装でもないらしい。

「勝った気になるなよ。てめえも同じ所に送ってやる」

ダークリンクは剣を振るい、飛び出した。

「黒髪のお人好しと一緒のなぁ!」


金属音が忙しなく鳴り響く。

不安にもなるが、今は信じよう。見惚れて、それで負傷したら帰ってきた時に笑われるじゃないか……ラディスは魔物を一匹、蹴り飛ばして。

「ちっ、切れやがったか」
「同じく」
「ストック持ってくるんだったぜ」

フォックスとファルコは銃弾が切れてしまったのか、互いに苦い顔をして拳銃をホルスターに仕舞い、構えた。一方のマリオもだいぶ体力を消耗してきているのか、合間に両膝に手を付きながら小さく息を弾ませて。

「ほんと、……切りがないな」

全くその通りだ。マリオが体力の回復を図っている隙に、ラディスは彼が不意を突かれないようにサポート、稲妻を放って向かってくる魔物を弾く。

「あの野郎、なかなか器用じゃねえか」

ファルコの言う通りである。

確かに、こうでもしなければ彼に勝ち目はないだろう。こうして低級の魔物しか生成できないのも、彼の体力が十分に回復していない証拠である。

「つっても、……どうも信用ならねえな」

魔物に蹴りをお見舞いしつつ、ファルコは続けた。

「勝ったところで、本当にこの部屋ただで通すつもりかよ」
 
 
36/82ページ
スキ