第一章



青年はゆっくりと立ち上がると、何の前触れもなく男の側頭部に蹴りを入れて。

「ってめえ!」
「こんな雑魚相手に、連携だか何だか知らないけど、馴れ合うとかやめてよね」

ファルコはきっと睨み付ける。

「同じ仲間だろうがッ!」
「仲間?」

青年ははっと笑って。

「それが馬鹿だって言ってんの。僕らは政府に雇われた戦士だよ? いつ死ぬかも分からない奴と仲良くしろって?」

彼の意見も一理あるが、何より言い方が悪かった。苛立ち、踏み出そうとするファルコと留めたのはフォックスで。

「僕らの使命はあくまで“レイアーゼの防衛”。戦士なんてのは使い捨てなんだ」

青年は続ける。

「下手な情は次の戦いに支障を来すだけ……分かる? 忠告してあげてんの」

その時、ひんやりとした風が吹き抜けて。

「早死にするよ。あんたら」
 
 
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