第四章-後編-



「人が優しくしてりゃ調子に乗りやがって……」

酷く苛立った様子で顔を顰め、駆け出す。

「邪魔だってのが分かんねえのか!」

クレシスは前に飛び出して剣を構えると、次の一撃も受け止めた。すぐに横に構え直して振り下ろしを剣で受け、下段から回し蹴りを繰り出す。

「っは、邪魔してんだよ」

ダークリンクが飛び退いて躱したと同時に駆け出し、距離を詰める。左上から右下に向かって振り下ろすが、そうしてあっさりと斜めに切断されたダークリンクの体はたちまち真っ黒に染まり、粒子に変化して。

「クレシス! 後ろ!」

誰かが咄嗟に声を上げるので振り返れば、そこにはダークリンクが構えていた。

防御が間に合わないと踏んで、薙ぎ払いはその場で身を屈めて躱し、がら空きの腹部目掛けて突きを繰り出す。しかしそれも貫いたかと思えば、次の瞬間には同じように真っ黒に染まり、粒子となり消滅して。

「くっ」
「なんやあんなんズルやん!」

またも背後に回り込んだダークリンクの剣を受け止めるクレシスを見つめ、ドンキーは不服そうに声を上げる。それを耳にしたダークリンクはにやりと笑って。

「ズル?」

一旦剣を引いてクレシスの体勢を崩し、自身は剣を持ち替えて突きを繰り出す。

「――これが俺の能力なんだよ!」
 
 
3/82ページ
スキ