第一章



「クレシスってば、気を付けてよね!」
「あぁ?」
「一般の人に当たったら、どーすんの!」

一人は仕留めたというのに、リムには咎められて気怠そうにふいと顔を背けるクレシス。一方のラディスは地面に着地して、

「逃がすかっ!」

見失わないよう、走り出す。


「ラディス!」

そこへ、追い付いたのはフォックスとファルコである。彼らが手にしているのは拳銃。考えが読めたのか、ラディスは頷いて。

「頼むよ!」

そう言って、ぐんと追い抜く。

「よし。外すなよ?」
「テメーこそ。当てんなよ!」

フォックスとファルコは走りながら拳銃を構え、引き金を引いた。乾いた音と共に放たれた銃弾は、先の先を走る強盗の男の足下の地面に数発、撃ち込まれて。

「っ、」

その内の一発が男の足首を掠めた。途端に男の走る速度は格段に落ちて、対するラディスはどんどん距離を縮めていき――
 
 
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