第四章-前編-
「ったく。手間取らせやがって……」
ダークリンクは着地すると、ずるずると壁を伝って床に倒れ込むラディスを見つめ、やれやれと溜め息を吐き出した。
「くっ……」
壁に叩きつけられた衝撃で結晶は砕けてしまったが、幸い、動けないわけでもない。
ラディスはのっそりと体を起こして。
「……はー」
その様子を見ていたダークリンクは二度目の溜め息を吐き出すと、剣を軽く打ち払った。すると、ラディスの太股に絡み付いていた鎖が解けて、一旦は影の中へ。
――次の瞬間、ラディスの喉元目掛けて先の尖った影が下から突き出した。
「ッ、……!」
咄嗟に首を反らしたが、影は先端を喉元に宛がった状態のままぴたりと止まって。
「分かるだろ? 面倒くせぇんだよ」
ダークリンクは苛立っているようだった。
「言え。もう一人は何処にいる」