第四章-前編-
「その容姿」
「っクレシス!」
「名があるとすれば、ダークリンクか?」
口にしなければ誤魔化せたかもしれないのに。ラディスはやれやれと頭を抱えて。
「……っふ」
不意に青年は小さく吹き出すと、
「あっははは! 大当たりだ!」
腹を抱えて笑いだした。
「俺も! お前も!」
――こんな得体の知れない魔術を扱う男がそんな容姿と名前で、ただの魔術師とは到底思えない。前回の発言も然り。
「……君の主は、ガノンドロフだね」
青年、ダークリンクの笑い声がぴたりと止んだ――かと思えば、にやりと笑って。
「だったら、どうするよ」
刹那、強烈な殺気が二人を襲った。
不気味な赤い光を灯した瞳がじっと此方を睨んでいる。突き動かされるようにして、ラディスは駆け出した。