第四章-前編-



リムはぐっと腕を引いて。

「来るでしゅ!」

しかし、リンクは踏み留まる。

「離してください!」
「さっき、ユウが言ってた。あんたの考えは、ただの我が儘じゃないって!」

リンクは顔を顰めた。

「いい加減にしてください!」
「往生際が悪いでしゅ!」
「子供に何が分かるんですか!」

その一言にリムはむっとして。

「子供じゃないもん!」

はっきりと言い放つ。


「戦士だもん!」


リンクははっと目を開いた。

「……あんたが、勇者じゃなくて戦士を選んだこと。きっと何か、理由があるはず」

リムは腕を掴む力を少しだけ込めて。

「信じさせてよ」

訪れた沈黙の中、次に腕を引くとリンクの体はあっさり揺らいだ。転げ落ちないよう慎重に階段を下りて、駆け出す。

リンクはただ、口を閉ざしていた。
 
 
44/52ページ
スキ