第四章-前編-
リムはぐっと腕を引いて。
「来るでしゅ!」
しかし、リンクは踏み留まる。
「離してください!」
「さっき、ユウが言ってた。あんたの考えは、ただの我が儘じゃないって!」
リンクは顔を顰めた。
「いい加減にしてください!」
「往生際が悪いでしゅ!」
「子供に何が分かるんですか!」
その一言にリムはむっとして。
「子供じゃないもん!」
はっきりと言い放つ。
「戦士だもん!」
リンクははっと目を開いた。
「……あんたが、勇者じゃなくて戦士を選んだこと。きっと何か、理由があるはず」
リムは腕を掴む力を少しだけ込めて。
「信じさせてよ」
訪れた沈黙の中、次に腕を引くとリンクの体はあっさり揺らいだ。転げ落ちないよう慎重に階段を下りて、駆け出す。
リンクはただ、口を閉ざしていた。