第四章-前編-
「勇気? あるわけないじゃないですか」
リンクはくすくすと笑った。
「死ぬのが怖いのは誰だって当たり前でしょう? 殺すことだって。それなのに何故、俺にばかり押し付けるのでしょうか」
不意に口元が歪む。
にやりと笑ったその顔は。
「まるで悪魔ですね。人間は」
――きっと、狂気に満ちていた。
「何をおっ! あんただってええ!」
「どうどう」
ドンキーは苦笑気味に留めて。
「ユウも何か言うでしゅ!」
「……そうだな」
ユウは暫しの間を置いて、口を開く。
「安心した」
「そうでしゅよ! あんし――」
リムはぱっと振り返る。
「ふえっ?」
「あんた、なにゆうてんの」
ドンキーもきょとんとしていた。
「安心……?」
無論、当事者のリンクも。
「何処か欠落した無慈悲な生き物だろうと軽蔑していた。……さっきまでは」
「印象最悪やったんやな」
ドンキーはぽつり、と少し呆れ顔で。