第四章-前編-
――ああ、その瞳が。
映し出しているのは紛れもない、絶望で。
「違う!」
そう言い放ったのはリムで。
「守るための正義は、罪じゃない!」
リンクは小さく目を開いたが、すぐに眉に皺を寄せると鋭く睨み付けて口を開いた。
「そうやって正当化して、だから安心して殺せと言うんですか」
しかし、リムは引き下がらない。
「相手は魔王なんでしょ! 関係ない人もいっぱい殺して、悪い人なんでしょ!」
ふと、沈黙が訪れた。
今の台詞で、彼が納得してくれたとは言い難い。リンクの表情に影が差した。
「……それでも、同じ人間なんです」
彼は、何度同じ結末を見てきたのだろう。
――思うのが、怖かった。
「たったそれだけの理由でも、殺したくないと願うのはいけないことでしょうか」
リンクは視線を落とす。
「それとも……俺が、勇者だから?」