第四章-前編-
「だから、ね。いらないんです」
リンクはにこりと笑いかける。
一瞬でも愛らしく見えたその笑みには影が差して、それが何処か不気味だった。
「これによって得られる、地位も名誉も何もかも……切り落としたっていいんです」
リムの頬を、冷や汗が伝う。
「そんなのっ!」
「あはっ、どうでしょう。この痣、輝きを放たない癖に消えないんですよ……」
それでも、リンクはただ笑って。
「滑稽ですよね。運命に背中を向けた子供を、まだ信じているのでしょうか」
見ていられなかった。
その笑みが語っていたのだ。運命を呪っているのだと。ドンキーは顔を背けて。
「ああ、もしかしたら左手を切り落としたところで、今度は右手に宿るかもしれませんね……ふふっ……そうまでして……」
――リンクの瞳が虚ろに変わる。
「運命は俺に、人を殺せと命じますか」