第四章-前編-
「手間かけさせんなよ」
苦笑いをするラディスに小さく溜め息。
「今更、お前が何を仕出かそうが、止めてやるつもりはねえ。これからだってそう」
クレシスはくすっと笑って。
「俺だけじゃないだろ? リーダー」
無鉄砲なお前を、信じてるのは。
「褒めてるのか?」
「俺にしては珍しく、な」
「分かりづらいな……」
いつもの調子でそんなくだらないことにさえ、腕を組んで悩みだすラディスに、クレシスは安心したように微笑する。
「……さて。本題に戻させてもらうぜ」
ラディスは顔を上げる。
「運命は誰のものでもねえ、その人のものだ。だとしたら、応えようとしている姫さんも、逃げようとしている緑の餓鬼も、間違っている。だったら、終わらせてやれ」
そんな運命は――
「きゃああぁあ!」
銃声、そして悲鳴。
間違いない、食堂からだ。でもどうして。
「ラディス!」
考えている暇はない。その呼びかけにただ頷いて、二人は食堂に駆け込んだ――