第四章-前編-
ラディスはゆっくりと上体を起こした。
「……俺らしい、か」
それでも、心の迷いがラディスの表情を曇らせる。クレシスは溜め息を吐き出して。
「お前の意志を尊重しろ。今までそうやって生きてきた、自分自身に誇りを持て」
ラディスは顔を上げた。
「……じゃなきゃ」
クレシスはふいと顔を背ける。
「俺が、馬鹿みてえじゃねーか」
はっと目を開いた。
――そうか。
そうやって生きてきたんだな。クレシス。
あの時から、ずっと。
「……そうだな。どうかしていたよ」
参ったな。心がくすぐったい。
迷いはとうに失せていた。ラディスはくすっと笑みを溢して、立ち上がる。
「戦士である以前に、自分だってこと」
見失うな。
誰かの為になりたい――今までそう願って生きてきた、自分の誇りを思い出せ。
こんな自分を信じてくれた、仲間たちを。