第四章-前編-
彼の言い分は確かに正しい。
が、あの時とは違って既に自分は、勝手が許されるような立場ではないのである。
「クレシス。俺たちはDX部隊だ」
そう告げるラディスに、そんなのは承知の上だとばかりに睨みを利かせる。
依頼でもない、誰かの事情に首を突っ込むことが、どれだけ愚かに映るだろう。
そうした挙げ句、犠牲が出るのなら尚のこと。だからこそラディスはここで改まり、“リーダー”として忠告するのだ。
「その望みは叶えられない」
我ながら吐き気がした。
友人を前にして、酷くまじめくさった顔でそう言い放つ自分に。けれど、それでいて納得しようとしている自分に腹が立った。
「……そうだよな」
さっきとは違う、今度は寂しそうな声で。
彼は、恐らく失望しただろう。顔を見るのが辛くて、ラディスは視線を落とす。