第四章-前編-



食堂を飛び出すと、思いの外扉が勢いよく閉まった。その音に、少し先の廊下を歩いていたクレシスは立ち止まって。

ラディスはじっと背中を見つめていた。

「……なあ」

暫くして、聞こえてきたのは。

「結局、何が正しいんだよ」


少し寂しそうな声だった。


「……分からない」

ラディスは視線を落として。

「どっちも正しいんだ。誰も裏切りたくない一心で運命を受け入れようとするゼルダ姫も、その運命を呪って認めようとしないリンクも……だから、俺には分からない」

ぐっと拳を握って。

「それはきっと、彼らが決めることで」


俺が決めることじゃないから――


「はは……狡いな。それが遠い昔からの運命だなんて。あんな小さな体で……そんな重たいものを背負って。ずっと、」

戦って。闘って。

「それなのに、俺は……!」
 
 
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