第四章-前編-
さすがのラディスももう驚かなかった。
驚きの連続で、何かリアクションを起こすような気力も無かったのである。
「怒りましたか?」
「あ、いやっ! そうじゃなくて!」
ラディスは苦笑いを浮かべる。
ゼルダは不思議そうに見つめていたが、再びあの三人に視線を戻した。暫く沈黙が続いた後、不意にゼルダは口を開いて。
「貴方には、彼らがどう映ってますか?」
質問の意図を掴めないまま、ラディスは視線を向ける。口にするまでもなかった。
「……だから、羨ましいんです」
彼らはああいったやり取りを交わしているが、それを眺めている人間はくすくす笑ったりと、和やかな空気に包まれている。
ゼルダは視線を落とした。
「確かに、私とピーチはそれぞれの立場が似ています。……ですが、誤りでした」
優しい、確かな温もりの存在――
「私と彼女は同じではありません。でも、それでも私は、恨みたくないんです」
自分に課せられた、運命を。