第四章-前編-
ゼルダはそのやり取りを、きょとんとした具合に見つめていた。
「……姫様」
声をかけられはっと顔を上げると、いつの間にかラディスが接近していた。
この状況下であの場からでは声が届きづらいと踏んだのだろう。ラディスはちらりとマリオ達を振り返ると、苦笑を浮かべて。
「すみません、なんか」
「いえ。ピーチとクッパさんは私が連れてきたのです。元は同じ目的で――」
そこまで言って、ゼルダは口を閉じた。
「どうかしました?」
ラディスは怪訝そうに見つめる。
「……少し、羨ましいです」
ゼルダは微笑を浮かべた。柔らかで、それでいて何処か寂しそうに見えた。
「私も、彼ら二人も。突如姿を消した勇者を探しにここへと訪れたのです」
「よく分かりましたね」
ゼルダはこくりと頷いて。
「はい。……デスマウンテンで、一度あなた方を見かけたのです。それで勝手ながら青い羽根の乗り物に発信機というものを」