第四章-前編-



ゼルダはそのやり取りを、きょとんとした具合に見つめていた。

「……姫様」

声をかけられはっと顔を上げると、いつの間にかラディスが接近していた。

この状況下であの場からでは声が届きづらいと踏んだのだろう。ラディスはちらりとマリオ達を振り返ると、苦笑を浮かべて。

「すみません、なんか」
「いえ。ピーチとクッパさんは私が連れてきたのです。元は同じ目的で――」

そこまで言って、ゼルダは口を閉じた。

「どうかしました?」

ラディスは怪訝そうに見つめる。

「……少し、羨ましいです」

ゼルダは微笑を浮かべた。柔らかで、それでいて何処か寂しそうに見えた。

「私も、彼ら二人も。突如姿を消した勇者を探しにここへと訪れたのです」
「よく分かりましたね」

ゼルダはこくりと頷いて。

「はい。……デスマウンテンで、一度あなた方を見かけたのです。それで勝手ながら青い羽根の乗り物に発信機というものを」
 
 
23/52ページ
スキ