第四章-前編-



何故、ハイラル国王女、ゼルダとリンクが向き合って座っているのだろう。

「……率直に問いましょうか」

ゼルダはナイフとフォークを置いて両手を膝の上に重ねて置くと、見据えた。

「何故、逃げるのですか」

リンクは口を閉ざしている。

「左手の甲に宿した紋章が金色の輝きを放ったその時から、貴方はハイラルの大地に降り立つ誇るべき勇者。それなのに」
「随分と」

不意にリンクは小さく笑みを溢す。

「……勝手なことを仰有るのですね」

まるで、自嘲するように。

「その身を滅ぼして守るのが勇者なら」

引き続き、口元に笑みを浮かべて。


「見殺しにするのが貴女、でしょうか」


違う、とゼルダが声を洩らした。

感情が高まりつつあるのだと察したラディスが仲裁に入ろうと踏み出すが、クレシスが肩を掴み、静かに首を横に振って。
 
 
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