第四章-前編-
「彼女はハイラル国王女、ゼルダよ」
そう答えたのはサムスだった。
料理の並べられたテーブルの前に凛とした姿で慎ましく、椅子に腰掛ける少女の名を知って、成る程なと納得したのも束の間。
「お――ごふっ!?」
声を上げる前にカービィによって口を塞がれ、クレシスによる肘突きが容赦なく腹部に襲った。確かに、雰囲気をぶち壊さずに済んだが……この扱いは、ちょっと。
「……何してんだ?」
後から入ってきたファルコは首を傾げて。
「まあ、美味しい」
ナイフとフォークを丁寧に扱い、何とかのソテーを口に運んでゼルダは微笑した。
「貴方も召し上がってみては」
「いいえ。それよりも」
リンクはすっと顔を上げる。
「本題に入られては如何でしょうか」
蒼い瞳に影が差した。
「ゼルダ姫」