第四章-前編-
「ラディス!」
この声は、もしかして。
屋敷から飛び出してくるなり、駆け寄ってきたのはリムだった。ラディスの腕に抱きついて、ぐいと引っ張り、見上げる。
「大変! 大変なんでしゅ!」
「どっどうしたんだ?」
「……お客様」
ぽつりと呟いたのはいつの間にか後ろに立っていた、ユウ。フォックスはアーウィンから降りると、ユウを見つめて。
「来客? もしかして、依頼人か?」
ユウは首を横に振って応える。
「おえろいさん……」
「とにかく変態なんでしゅ!」
「や、それは違うだろ」
呆れたように、クレシス。
「とにかく行ってみないか?」
「そっそうだな」
このままでは埒が明かない。ラディスはこくりと頷くと、リムに腕を引かれ、ユウに押されるがまま屋敷へ向かうのだった。