第四章-前編-



間もなくして、フォックスの操縦するアーウィンはレイアーゼの領空に入った。

「起きろ、ねぼすけ」

反対側のウィングから、ハッチに身を乗り出してクレシスが指を鳴らすと、黒く小さな光の玉が生成されてふわふわとラディスの耳元へ、ばちんっと弾けて。

「うわっ」

ラディスは慌てて飛び起きると、ぶすっとした顔つきでクレシスを見つめた。

「おはよう。よく眠れたか?」
「……さっきまではね」

ラディスはあの音が好きじゃないらしい。

「ったく。餓鬼じゃねえんだから」
「まだ若いよ、俺は」

そんなやり取りを耳にしながら、フォックスはゆっくりとハンドルを切った。

屋敷の庭にアーウィンを着陸させて、エンジンを切る。ラディスとクレシスが降りたところでフォックスはハッチを開いて。
 
 
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