第一章



これからラディス達が住むことになる屋敷は、この街を抜けた先にあるらしい。

「都会は初めてなのか?」

きょろきょろと辺りを見回すラディスに、たまたま後ろを振り返ったファルコが訊ねる。はっと気付いたラディスは慌てて、

「その、あまりこういうビルとか」
「俺らの住んでるとこは森が殆どで、都市っつーより田舎だもんなぁ」

クレシスがさりげなく口を挟む。

「だろうな。ビルばっか見上げてっと、都会人に田舎者だって嘗められるぜ?」
「そうなのか……」

ファルコからの忠告に、ならばとラディスはフォックスの尻尾に視線を送る。

「ファルコ」
「俺が悪いのかよ」

落ち着かない。

「もっふもふだな……」
「お前、それセクハラだからな」

クレシスは小さく溜め息。
 
 
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